2025年6月2日月曜日
きょうの母は別人のようだった
母は「帰りなさい」と私に言わなかった。
きょうは、私はとても静かなの。
と、母は言った。
私はNHK交響楽団のコンサートについて彼女と話した。
話が、私が先日母の病室に置いていった油性ペンの話になったとき、母は、
「あんたは用心が浅いね」
と言った。
私が警備員について母に話したとき、母は、
「警備員は仕事をしている」
と言っていた。
私は、病室にチャイムの音を聞いた。
母が看護師を呼んだのだ。
スピーカー越しに看護師が話しかけた。
「どうしましたか」
母は答えた。
「足がかゆい」
看護師は私が病室にいるのを見て、
「ご家族の方は足にさわっていただいて、いいんですよ」
と言った。
私もそう思っていた。
看護師は母の足が赤くなっているのを見て、そこにワセリンを塗った。
私は言った、
「看護師さんが足を、こりこりかいてくれると思った」
母は答えた、
「かかないよ。キズがつくから」
私は帰宅する前にカラオケに行った。
1曲を何度も練習した、水曜日にレッスンがあるからだ。
歌うことが私の心をらくにしてくれた。
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